パートというお気楽身分なのは大前提として、また職が変わります。
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仕事に不満らしい不満はなかった。
特に一緒に働く人たちは大好きだったし、正直何より気楽だった。
言われたことを言われたとおりにやればよかったし、体もそれほどきつくはない。
頭も使わなくていいし、プレッシャーや軋轢もほぼない。
ノーストレスで快適に働けていた。
でもそれは裏を返せばだれでもいい仕事だった、ことは確か。
再三書いてきているように、工場は基本「誰がやってもだいたい同じ結果を得られる」ようにデザインされている。
それがわかりすぎるくらいわかるからこそ、なんだかそこにいる自分に違和感を覚える。
その感じは日に日に大きくなっていった。
2期のパートさんが入ってきたころから、人が余っている感じがあった。
体制や作業内容はもちろん、現場を監督してくれる人もコロコロ変わり、現在は外部の人が直接の監督官になっている。
彼女は仕事もできるし、ものごともよく見えていて優秀なのだが、なにぶん外部の人だ。板挟みになって苦しむ姿は見るに堪えない。
会社自体の風通しの悪さは相変わらずどころか悪化の一途を辿っていて、もはや相互理解にこぎつける努力すらする気もなくなってしまっていた。
それでもまだまだコロナ禍真っ最中、しばらく仕事を変える気はなかった。
なかったんだよ。
ある日見るともなく見ていた求人サイトに、この界隈ではかなり有名な飲食店の皿洗い/ホールのアルバイト募集記事が出た。
いわゆる行列のできる人気店。
あぁ、いっぺん人気店で働いてみたかったんだよなぁ。
詳しく見ると「日曜、祝日、お盆、年末年始休み」「週3日、昼3時間程度」「土曜出られる方歓迎」「自宅から自転車で10分ちょい」。
うわナニコレわたしの条件ドまんなかじゃん!
そもそも飲食を離れたのは「稼ぎ時の日曜や大型連休に出られない」ことが非常に大きかった。
店側がそれでもいいよと言ってくれても、罪悪感が半端なくて。
店が休みなら大手振って休める。うしろめたさを感じることもない。
なにより一度はやってみたかったよ人気店。
コレは…どうしよう。今逃したらもう出ない気がする。
ものすごーく悩んだが、応募することにした。
とりあえずネットから簡単なプロフィールだけ送信すると、すぐに面接予約の電話がかかってきた。
客商売バリバリのメチャクチャ人当りいい電話。こっちも思わず全開の接客モードで対応。
ああこの感じ懐かしい。いいねやっぱ。
お店は市場の中にある。ロケーションもある意味最高だ。市場内をチャリンコで走り回ってるだけで意味もなくテンションがアガってくる。やべーたーのしー。
お店は想像より狭く、想像よりはるかに小ぎれい。
ひとことふたこと交わすだけですぐにそれとわかる全開客商売の社長さんと面接スタート。
以前4年超勤めた店のことを先方が知っており、話はかなりスムーズに進んだ。
すさまじい人気店なのはどうやら本当らしく、最小人数のスタッフでちょっと驚くくらいの客数を捌くそうな。
正直その数字にちょっとビビる。
「おいしいのは当たり前、プラスで何ができるか」みたいな話になり、あぁそうこういう人の下で働きたかったんだよね!と改めて思う。
モチベーションなんですよ、と語彙足らずながら訴えると「うちのお店に合うと思います」との返答。
あーもーわかってるね!めっちゃ両想いじゃんこの感じ!
とはいえ、求人への応募はそれなりの件数が集まっているらしく、返答は数日後に電話でということになった。
そりゃそうだ。せっかく高い金払って求人打ってんだ、全部会っておきたいのは当たり前だ。
感触こそよかったとはいえ、相手はあくまで全開接客モード。
こっちは年もいってる、話せば多少の扱いづらさも見えるだろう。
不採用も十分ありうる。心の準備はしておかねば。
予定より数日待たされようやく電話。
「面接の結果なんですが…」と言い淀む様子に「うわっ、ダメだった?」と生唾を飲み込む。
「採用させていただくことになりました」
なんでもったいぶったんだよ。突っ込んでいいとこかねこれ?
まぁそんなわけで、念願の人気店にて飲食畑への復帰が決まりました。
これまでさまざまな飲食店におりましたが、いわゆるチェーン店でなく、しかもメディアで取り上げられるようなお店は言うまでもなく初めて。
そこそこ混んでる状態も体験はしてきましたが、言ってみれば草野球で調子に乗ってたのがいきなりプロ野球の試合にぶっこまれる感じで、結構ビビってます。
でも、めちゃくちゃ楽しみ。
今回の募集でもうひとり採ったそうなので、その人と会うのも楽しみです。
軌道に乗ってきたらまたお店の話をすることもあるでしょう。
ここではお店の名前は載せませんが(まぁ調べる人が調べたらわかっちゃうんでしょうが)知りたいというけったいなお方がいらしたら個別にメッセージやラインをくださいませ。
行列待ってくれるなら、極上の笑顔でお迎えいたしますぜ。
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