このほど、お勤め先で育てている野菜が地元の物産スーパー店頭に並ぶはこびとなった。
勤め始めて5カ月ほど。
理科の実験的、かつなかなかの肉体労働。
すでに種まきから収穫までの流れを何度も繰り返してはきたし、商業用として出荷されているのも知ってはいた。
実際に収穫した野菜を大量にいただいて持ち帰って食べもした。
だが、あらためて自分が買い物をすることもある店に商品として並ぶのはなにやら感慨深い。
これまで多くの種類の仕事に従事してきたが、ふと思い返すと「ものを作る」仕事はしたことがなかった。
いや、たとえば料理なんかは「ものを作る」といえばそうだし、パッケージングなんかもそうなんだけど、言ってみれば材料ありきの組み立て作業なわけで、素材の素材から実際に役立つなにかにまで育てる過程に携わったことがない、というか。
うまく言えないけどそんな感じ。
種まきから収穫、包装、店頭に並ぶまでの一連の作業に携われるというのはこんなに面白いことなんだなぁとしみじみ実感しているところ。
職場内でもネタとして話には出るが、よく見かける「わたしが作りました」な写真に自分が載った商品が陳列されててもおかしかない、という仕事をしてるわけだ。
これはなんかテンション上がるわ。
立ち上げ間もない現場とあって、あらゆる仕組みが手探りで朝令暮改の嵐だが、それがまた面白い。
駒の立場としては言うまでもなく大変だが、そのかわり駒の意見もよく聞いてくれ、それが反映され、少しずつ改善していく様子が肌でわかる。
システムの完成している大型工場なんかではなかなか体感しにくい事柄が、行くたびに実感できる。
わたしみたいに言いたいことを我慢せずに言いっぱなしやりっぱなしな人間には最適だ。
実際にやってみてよくないと感じたことだけがーがー言ってりゃいい。社員さんたちがそれを改善するように努力してくれるわけだ。
そうは言ってもお仕事なのだから楽しいばかりではない。
一緒に入ったパートさんも一人抜け二人抜け、歯が抜けるようにじわじわ減っていく。
原因はひとくくりにこそできないが、主だったものとしては「思ったより重労働」なこと。
実際、入る前の触れ込みとしては快適な室内で植物のお世話、くらいのニュアンスだった。
ふたを開けてみれば重い機材に振り回され大量の水でずぶ濡れになり、それこそ秒単位で作業に追われる。
話が違うって辞めてっちゃう人のことはまったく責められない。
わたしは農家だったこともないし、農作業の大変さを知らない。
でも土も使わず温度管理された場所で野菜を育てる、というある意味最先端の?工場で農業に従事してみて感じることは、農作業がどれだけ過酷かってこと。
晴れてりゃ暑くてかなわんし、体勢も常にツライ。ある意味いっときだって目が離せず、台風なんて来た日にゃ手塩にかけたかわいい子たちが全部パアだ。
そうして農家のすさまじい苦労を想像すると、わたしなんかは現在の重労働もせいぜい軽作業の部類だなーなんて能天気に思ってる。
ものごとはすべからく主観の問題、捉え方の問題なのかもしれん。
まだまだこの先どうなっていくのか皆目わからない。
会社自体がどこへ向かってるのかもよくわからないし、肝心の野菜そのものもどうやって売っていくつもりなのか、というかそもそもそこで利益を出して恒常的にやっていくつもりなのかどうかもわからない。ビジョンがまったく見えてない状態。
でもだからこそ、ちょっかい出せる余地がある、のも確かなわけで。
現場のアレコレ、構造の問題、備品の欠如、人員の配置、効率的な作業の方法から、パッケージングやブランド化、売り方見せ方謳い文句、妄想はいくらでも広がる余地があり、採用されるかどうかはさておき、それをわりとまじめに聞いてくれる社員さんがいる。
わたしみたいな暇人パートにゃなかなかエキサイティングな職場です。
あとは、体が持てばね。最近腰が痛いのが悩みです。
くぅ~BBAな発言がてめえで言っててすげえやだ!
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