今日の記事書き終わってみたらすげえ長くなりましたが分割する気は起きずこのまま投下。
お時間に余裕のある方だけお付き合いください。
新たな職を得ようとした話は、カツカレーを辞めた直後くらいまで遡る。
しばらくブラブラしようと思っていたのはあくまで「よさげなレギュラー所属先が見つかるまで」、つまりいずれはどこかに定期所属をするというのが前提で、ずっと日銭で暮らそうと思っていたわけではもちろんもともとなかった。
辞めた直後にいちばんはじめに見つけたのは、校正・校閲の仕事だった。
校正なら大昔に少しやらせてもらったことあるし、作業も楽しかったんだよな。
このへん
土日祝等休みで週3日からOK、基本はフルタイムで短時間「も可」ってところが若干気になるが、そこは直接すり合わせていけばいいことだし。
家からもかなり近い。こんなところにこんな会社があったんだ。
このタイミングでコレはもう運命でしょ。
さっそく書類を揃えてネットから送ったが、これが待てど暮らせど返信がない。
たいてい1~2日、遅くても1週間以内にはなんらか返信があるのが普通なので、残念ながら書類ではねられたのだろう。
わたしは結婚からこっち正社員というものになったことがないため、履歴書や職務経歴書に書けることがまるでない。
頼りないスカスカの紙きれは、到底武器にはなり得ない。
面接まで漕ぎつけさえすればどうにでもなると思ってはいたが、書類ではねられちゃうんじゃどうしようもないわ。
この事実はわたしの不安感と焦燥感を加速させた。
そりゃそうだ、オフィスワークとかの人気職種ならなおさら、20年以上前に退職した記述の下に「以上」って書いてある、資格も技能も事務経験すら持たないアラフィフを好んで面接に呼ぼうと思うわけないよな。
そうなるともう飲食系にしぼってったほうがいいかなあ。
ていうかどっか決まるまで長丁場になりそうだし、派遣で日銭稼いでおいたほうがいいんじゃないかなあ。
で、前回前々回の迷走へと疾走してゆくわけだ。
派遣であれこれ出かけていくのと並行して職探しは続けていた。
近所のファミレスやらもたくさん募集はあったが、半年やそこらで飽きて辞めちゃうんじゃお話にならない。勤めやすくて、楽しくて、通いやすくて、土日休みで、短時間で、週3日くらいで、ってあんのかいそんなとこ。
途中「トマト栽培」の募集を見つけ、条件もかなり合致したため「うおおコレは!」と色めき立ってすぐに連絡したが、ちょうど締め切ったところですとの回答。
それが事実かどうかはさておき、残念ながら縁がなかった。
トマト、やってみたかったなー。
徐々に検索範囲は広がっていき、派遣でうろちょろしていたことも手伝っていつの間にか対象エリアは隣駅まで届いていた。
隣駅はがんばればチャリで20~30分で行ける。でかい駅なので、わがまま全開の主張に合致する仕事もちらほら見つかってきた。
そのうちの2軒にメールを送った。
どちらも隣駅付近の飲食店。1軒目は個人経営系のこじんまりとしたフレンチ。お店が日曜休みで、お客さんとの距離も近そうで楽しそうだ。
もう1軒は結婚式場を平日の昼だけレストランとして使うという体裁のまだ開いたばかりの店。デカいビルの上層にあって、なんか行くだけでアガりそうだ。
ここで2軒ほぼ同時にメールを送っちゃうあたり、完全に故障している。
パートだということを忘れて、就職活動の気持ちになっちゃってた。断られるの前提で考えて動いてる。
2軒ともレスポンスは早く、2日続けての面接が決まった。
いよいよ明日と明後日に面接。
どちらも希望条件はかなり満たしている。雇ってもらえたらいいなぁ、と履歴書を用意していたら、新着メールの知らせが。
なななんと、ここで冒頭の校正・校閲の会社から返信が!
明日面接するから来てくださいみたいな内容で、えっ、もうとっくにダメだったんだと思ってたよ。なんなら応募したことも忘れてたよ!
明日は無理なのでと電話で問い合わせると、日付を改めてくれることに。
翌週頭に予定してもらい、そちらの準備も進めることになった。
翌日。
まず一軒目は隣駅のフレンチ。
だいぶ古くからやってる人気店で、3階建ての建物はかわいらしいが年季が入ってる。
予定時刻よりちょっと早く着くと、ダンディな社長さんが招き入れてくれた。
「今ランチ片付いたところでちょっとバタバタしてるけどごめんね」
しばらくして上階からわたしより少し年上くらいの元気のいいコック服の女性が下りてきて挨拶。
3人で連れだって上階へ上がった。2階が厨房、3階が客席だそうで、面接は3階で。
だがこの階段が、すれ違いはおろか人一人がようやく通れる広さで急、船の裏階段なみ。聞けばダムもないと。この幅で料理持って行き来すんの…!?
慄然としたが、まぁやってる人がいるってことはやれるんだろうし、やれば慣れるんだろう。
履歴書を渡し3人でのおしゃべりは弾む。気づけば四方山な話で1時間半も経っていた。
すごくいい人たちだし楽しかったが、ネックになったのは階段と距離。
件の階段は相当体力的にキツイだろうし、それにプラスでチャリで片道20~30分はやはりキツイ。
面接終わりの頃には、おふたりが「うちはいつから来てくれても大丈夫。大歓迎。第一印象から決めてました」みたいなことを言いだし、こっちがマゴマゴする羽目に。
チャリ置き場はないけど来てくれるなら借りておくとか、雨の日は電車で来て交通費請求してとか、土曜も休みたいときに休んでいいよとか、もういたれりつくせりすぎて。
保留にしてあとで合否の電話みたいのをイメージしていたので、怒涛の攻勢にいたたまれない気持ちになった。
本当に申し訳ないなと思いつつ、ちょっと解答を待ってもらっていいですか、とこちらが保留することになってしまった。
ああもう、何やってんだよわたし。
翌日2軒目はでかいビルの上階レストラン。
距離は昨日の店と変わりないが、給料はこちらのほうが若干よく、本来の結婚式場としての利用が土日祝を占めるため、完全に平日のみ、しかもランダムに平日も休みが入ってくるとあって、条件的にはこちらのほうがよかった。
当日はあいにくの大雨だったが、エレベーターで上がった先の眺望はそんな天候でさえ見事だった。
結婚式場なので、言うまでもなく店の中は広くて豪華で綺麗な非日常。
これは、勤め先になったら楽しいなあ。
面接をしてくれたのはマネージャーという肩書を持つシュッとしたイケメンサラリーマン。初対面で2、3語話しただけで溢れ出る意識高い系オーラ。
聞けば経営母体は冠婚葬祭で超有名なグループで、そこの管理職も兼任しているそうな。
条件はほぼ文句なしで合致、ここで問題になるのは距離だけだった。
面接自体はさほど時間もかからず、ではさっそく来週のミーティングから…みたいな話の流れにこれまた面食らう。
え、えーと待って待って、合否の結果は後日電話でってやつじゃないの?
なんなのもうどこもかしこも明日から来てねみたいなノリで!
ひとまず向こう一週間くらいは派遣予定も入れちゃってるし、また改めてこちらから連絡させてもらうってことで連絡先を交換。
店内と厨房、スタッフルームも案内してもらい、面接終了。
引っかかった点としては、着替えて現場まで結構な階数エレベーター乗ってるのは大変そうだなってところ。
まあでも、昨日のお店とどっちかって言ったら、うーん、どっちかってーとこっちかなー。めっちゃ悩むけどー。
お待たせするのは悪いので、この時点で昨日のお店にはお断りの電話。
今回の一連の迷走狂騒の中でこの作業がいちばん胃が痛かった。
パートの応募は複数同時にしちゃうとこういう事態になるんだ。
これまでこんなことしたことなかったもんな。先方にも本当に申し訳ない。
二度とやらないと猛反省した。
翌週、校正の会社へ面接。
オフィス系は拘束時間も長いのが普通だし、条件面で厳しいかなと正直思っていたが。
面接を担当してくれた女性は履歴書や経歴にはたいして興味を示さず、意外な質問をしてきた。
「どのくらい働きたいとかあります?」
質問の意図をはかりかねていると、さらに重ねて
「月いくら稼ぎたいとか?」
いや、全然ないです。週1でも2でも3でも、そこそこ働ければ。
その回答がなにやら彼女の中で求める条件と重なったようで、じゃあ次の来社日は、と採用前提の話をしだす。
おいおいおいここもかよ!パートってこんな即決まるもんだっけ?
とはいえ、この会社は本当に申し分ない条件。
前2軒の面接先より給料は同じか少し上、週2~せいぜい4日、朝から14時半くらいまで、休憩は取っても取らなくてもOK、もちろん土日祝長期休暇等は休み、そして何より家からチャリ5分ちょい、歩いても行けちゃう!
おまけに仕事は選ばない、やらせてくれるなら何でもと言ったら、採用部署以外でも人足りてないところでの作業もお願いするかも、とのお話。
飽き性のわたしにゃ願ったりかなったりじゃない。なにその夢のような話。
狐につままれたような気持ちで家に帰り、ひとまず昨日のお店にお断りの連絡を入れた。これも本当胃が痛かった。
この2軒はいずれ客として絶対行きたい。どっちも本当にすてきな店だった。働いてみたかったという未練もないではない。
ていうか本当に採用になったのかね、となんとなく不安な気持ちで初出社日を迎えた。
仮のデスクが与えられ、さっそく割り振られた作業をこなしていく。
勝手知ったるというほどではないが、もともと経験があったうえ、現在はむぺむから時々振られる各種作業に近いものもあり、まったく苦しくも大変でもなくあっという間に初日の5時間は過ぎた。
ナニコレ、オモシロイ…!
というわけで新しい職場は、おもに結婚式場の招待状や席札なんかを作ってる会社。
船といいレストランといい、やたら結婚式場づいてる感がある。わたしのなかでそっち方面への潜在的な憧れがあったせいもあるのかも。
文字通り作ってるので、原稿作成段階から校正等を経て印刷、組み立て、納品まで全部そこでできるような設備が揃っている。
なので、差し当たり校正作業をメインに教えてもらいつつ、たぶん印刷とか梱包とかのプロセスも手伝わせてもらえるんだろう。
業界ではかなり老舗で、しかも最近同業の会社と合併したばかりとのことで、扱う案件はかなり手広い。
結婚式関連のデータに混じって名刺やパンフレットなんかもあって、これらの中身がまた非常に面白い。
こんな近くにこんなおもしろいことやってる会社があったなんてな。しかもそこになんでか知らんが紛れ込むことができたなんて、僥倖というほかないな。
オフィスに出社して働くデスクワーク、というのをもう何十年もやっていなかったため、ものすごく新鮮でものすごく落ち着かない。
休憩を入れない5時間なので途中腹は減るが、ウィダーをかっ食らったりチョコレートをついばんだりして、作業に没頭していればあっという間に時間が過ぎる。
もちろんすぐに慣れては来るだろうが、この感じも楽しんでる。
体力的にも飲食の頃に比べると百倍くらいラクで、これで同じような給料もらって本当にいいの?ってくらいむしろ懐疑的になっている。
ただし、懸案事項は2点ほどあってだね。
作業が文字と向き合うもののため、他人と話が全然できない。
これは別に話したくないとか話せる人がいないとかじゃまったくなく、作業自体が文字情報で、それの正誤を探すもののため、余計な言語情報を耳から入れると混乱するから。
なんならブツブツ言いながらの作業になる。
これによって、話し下手になっていくだろうな、という危惧がまず一点。
職場での友達もできないだろうな。っていうか、できるにしてもたぶんすっげえ時間かかる。
わたし以外はほとんどみんなフルタイムの様子なので、触れ合う機会がそもそも無さすぎる。
あとはもう言わずもがななんだが、体力がたぶんすごいスピードで落ちる。
もともとチャリでそこそこ走って現場で走り回ってって仕事をだいぶ長い間やってきたのに、場所は近いし完全座り仕事だしってんでまるで体を使わなくなる。
しかも頭脳労働は甘いものがめっちゃ欲しくなる。
こ、これは、ぶくぶく太らないようにマジでよっぽど気を付けないと…。
ともあれ、新しい環境での新しいお仕事は胸躍るもので。
少しずつ環境や道具も整えつつ、使える人になるように目下健気に前のめりに取り組み中です。
今度はいつまで続くやら、と自分でも思ってはいますが、各種条件は申し分なし、プロセス全部を見れて関わらせてもらえて、かつ中身が面白いとなると、長い付き合いになる気はしています(願望込)。