わたしは無駄に社交的。
どこででも、誰にでも話しかけることが可能だし、話を弾ませることも高確率で可能。
唯一胸張って特技と言えるレベルかも。
旅先でもそれをいかんなく発揮したと言いたいところだが、それを阻むのが言葉の壁。
そう、外国人観光客の多さよ…
わたしのご自慢の社交力はまず言葉のコミュニケーションありきのため、言葉の通じない人にはなかなか話しかけるのが憚られる。
英語が全然できないわけではないが、なにか失言や失敗をした際にリカバリーできるほどの能力は正直まったくない。
したがって話しかけない選択肢を選んでしまうことになる。
そういう瞬間って、もっと外国語を学ぶべきかも…ってちょっとだけ思う。
とはいえ昨今のご時世で言えば誰彼かまわず声をかける、人種はあんまり歓迎されないものだろう。
怪しい人には近づくな、ヘンな人とは話をするな、知らない人とは目を合わせるな、みたいな世の中だもんな。
それでも袖触れ合った人々とは楽しく刹那の会話をさせていただきました。
宿のお部屋と夕食を担当をしてくれたのはわたしより少し若い女の子。
母の目にはわたしと同じ年頃に見えたらしい。なんぼなんでももっと若いだろと思ったが実際いくつだったのかはわからない。
目鼻立ちのはっきりとした、ハキハキとした話し方は好印象。客商売として洗練されたとは言いがたいが人当たりは悪くないし、所作も落ち着いている。
聞けば彼女は「派遣」で、車で10分くらいのところに住んでいるそうな。
前職は保育士だったと語り、現職と比較するとどうかと訊ねると「どちらにも面白さがありますね」となかなかオトナな切り返し。
夕食時「マイクロトマト」を案内してくれるさい、
「マイクロソ…」まで間違えて言いかけたので思わず間髪入れず
「マイクロソフトじゃねーよ?」
と返すと、その後の会話にネタとしてマイクロソフトを織り交ぜてくるあたり、ナイス機転。
惚れるね。
翌日の朝食はさらに年若い男の子が担当。
どう見ても18、9の学生さん然とした、悪びれずに軽い口調を使う男の子。
札幌の出身だそうで、現在は住み込みで働いているそうな。
北海道だったら、むこうにもなんぼでも(こういう温泉旅館)あるよね?と訊くと、
「あっちだと遊んじゃって全然金貯まらないんで…」
「なるほど、たしかにここじゃ遊ぶところどこもないもんな」
こんな山奥に住み込みじゃ車持ってなかったらそれこそどこへも行けるまい。その若さでタコ部屋に近い*1労働環境に自ら志願してやってくるというのも不思議な話だ。
さすがになぜそこまで金を貯めたいのかまでは訊ねなかったが、世の中いろんな事情を持ったいろんな人がいるもんだ。
「ここらじゃ車ないとどこへ行くのもキツイだろうねえ」
「俺こないだのお休みにちょっと歩いたんすけど、すげえ体じゅう筋肉痛になっちゃいましたよ」
「歩いたんかい」
中強羅で傾斜を避けるため待合室に入ってケーブルカーを待っていると、4世帯とおぼしき家族旅行の面々が駅のホームにやってきた。そのうちのおばあちゃんとひいおばあちゃんにあたる女性*2がふたり待合に入ってきた。
会話を聞くともなく聞いているとあきらかにイントネーションが関西。
我慢できなくなって「どちらからですか?」と訊ねると、若い方の女性はちょっと警戒の色を浮かべた。
だがひいおばあちゃんのほうは人懐こい笑顔で「大阪です」、ビンゴ。
「やーもうイントネーションがあっちだったんで絶対そうかと」
「そうかねー。自分らじゃぜんぜんそんなことないつもりなんやけどなー」
「や、もうコッテコテやで。コッテコテ」
「そんなことないわー。めっちゃ標準語のつもりやで」
「どこがだよ」
その後訛りはうらやましいみたいな話をひとしきりし、
関西人粉もん好きだよねみたいな話から、
「たこ焼きオカズに白米食べるで?お好み定食とか普通にあるで?」
「ないわー。ほんとそれないわー。関東人の感覚で言うとソレ、ハンバーガーとかサンドイッチおかずに白米食う感じだわ-」
「なるほど、そう言われたらそうやなー」
ケーブルカー到着まで、くだらないお話に楽しくお付き合いいただきました。
と、出会った人はそんな程度でしたが、ほかに出会った生き物を少々。
たるたるは鳥が大好き。
子供の頃は休日に探鳥会に出かけるような鳥好きでした。
いまでも見知らぬ鳥を見かけるとうっかり他人様の家の庭に入って行きかねない感じです。
宿でも明けきらぬ早朝から聞きなれぬ鳥の声がギャアギャアやかましい。
そりゃ箱根の山奥だもん、普段お目にかかれないようなやつがわんさとおるやろ。
双眼鏡持ってくればよかったなと思いながらのお散歩。
スマホのカメラなのでものすごくわかりにくいですが、ヤマガラがいます。
写真は撮れませんでしたが、ほかに宿の前でキビタキの姿を見ることができて大感激。
湯本に戻ってから早川ではアオサギとおぼしきものも視認できました。
ヒドイ写真ばかりですが、わたしにしてはがんばったんだよ…
いつもメチャクチャすてきな鳥の写真をホクホクしながら拝見してます。
鳥もですが飛行機の写真も大好き。
イイ写真を撮ることを単純にうらやましいとは思うが、自分ではいまのところハマる気はしない。
だってじょうずに撮ってくれる人がいるんだもん…(他力本願の権化
いつもありがとうございます目の保養です。
中強羅駅では猫が。
向こうのホームにも猫が。
おやこっちにも猫が。
ずいぶんいるなと思ったらこんな張り紙が。
猫も大好き。
街中でも住宅地でも見かけると立ち止まって長い時間睨み合ってます。
完全に不審者です。
ここの猫はそれほど人慣れしてなかった。
旅の楽しみのひとつは普段触れ合わないアレコレに出会えること。
ヒトもモノも生き物も、一期一会の刺激を与えてくれます。
もっとも、旅先でアンテナを張り巡らす過敏さを日常でも持っていれば、変哲のない毎日すら、きっともっともっと充実したものになるんだろうね。
生きる、是旅。
たまに遠くへ行くことで、日常のありがたさを再確認するわけです。
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