オタクの性質~ワガママな子供

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いわゆる「オタク」について、まずは過去ログから2本読んでいただきたく。

1本目は約15年前に書いたもの。

 

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世間の人々がどうなのかは知らないが、自身知識の幅は広いほうだと思う。


漫画や小説は言うに及ばず、映画も音楽もクルマやバイク、野球にサッカーアメフトバスケット、格闘技にガンダムに三国志、もちろん社会情勢にもそれなりに敏感で博打酒煙草と男性側の趣味もかなり網羅している。

唯一弱いのは化粧品とかファッション関係、それでも最低限の知識は持ってるつもり。

 

こうして書くとよほどいろんなコト知ってるすげー奴って感じがするが、実際は全然そんなことない。

あくまでも「幅」として知っている程度で、その深さといったら水底が見える程度のモンでしかないのだ。

 

スポーツはほとんどのもののルールを知っているので、見るのは楽しい。でも、松井や清原の出身校は言えても二岡の今シーズンのアベレージは言えない。

つまり、そんくらいのレベル。 たいていのものがそんなモン。

 

かなりマニアの部類に入ると自負してるガンダムや三国志だって、呂布の武器は言えても、刑道栄の字(あざな)は出ない。

ガルマが玉砕した飛行機の名前を知ってても、ザクの全長は正確に言えない。

知らない人にとってはすべてがなんだそりゃってもんだろうが、詳しい人にとっては全然もの足りんくらいだろう。

 

ホントに好きな人ってのはすごい。もう海底2万マイルくらいまでその世界に深入りする。

飛行機の音聞いただけでファントムとかイーグルとか出るくらい、その世界にどっぷり漬かっている。

 

そんな人たちを、世間では「オタク」とか「マニア」とか呼ぶ。

わたしはそんな人たちを、こよなく尊敬する。

わたしの知らないことを、いっぱいいっぱい知っているからだ。

 

その人たちは、わたしが知っているような一般的なことを知らないかもしれない。

だからそんな人と会話をすると、すごくお互い尊敬しあえるもんだと思うのだ。

 

できるなら広く深ーく物事を知りたいが、わたしの脳みそメモリーには保存機能があんまりついてない。

容量も少なく、賞味期限も短い。

 

知らないことをもっと知りたい。なかなか難しいもんである。

 

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2本目は麻生さんが総理になった頃(ちょうど10年くらい前か)書いたもの。

 

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麻生さんが総理になって、意外と支持率があがってないらしい。

アキバあたりでインタビューしても思ったほど支持されてない、そうだ。

わたしは政治のコトはよくわからんが、支持されないってのはなんとなくわかる気がする。

それって別に自民党がどうとか、麻生さん自体がどうとかいう問題じゃない気がするんだよ。

 

一般の人(って区分もどうかとは思うけど)は基本的に保守思考だから、麻生さんみたいなタイプはちょっとなあって感じるだろう。自民党にはそぐわないというか、少なくとも福田さんとは全然違うタイプだもんな。

んでまあオタク文化にも理解があるという路線で押してきて、結構ウケがよかったようにも思えるのだけど。

 

思うにアキバとかの住人(って区分もしつこいようだがどうかとも思うが)の性質として、「長いものには巻かれたくない」っつー思考があると思うんだよ。常にあまのじゃく、常に少数派、理解されないことこそステイタス、みたいな。

わたしは手前もそれなりのオタクだし、オタクというモノを嫌いでもないし軽蔑もしていない。だから悪い意味で言うつもりはないんだけど、たとえばクラスにひとりものすんごいオタク君がいたと想像してみてくれ。

 

オタク君は権力者がキライ。自分を否定する優等生もキライ。おてんとさまの下で一点の曇りもなく自分の意見を述べて人を率いる人がキライ。

自分の知識に自負があるし自分の意見は正しいし、自分以外の人間を排他してバカにする傾向がある。

だから学園祭で「バニー喫茶やろうよ」って意見が大半を占めたとしてオタク君はブツブツ「コレは違うよ。こんなのバニー喫茶じゃないよ。まったく素人はこれだから」とか文句言うわけさ。

 

「そんなこと言うならオタク君がやってよ」と元気な女子に言われても「はっ、バカバカしくってやってられないね」とかぼそりと答える。

そんな中オタク君の思考を理解できる男子が親しく話しかけてきてバニー喫茶についていろいろ質問してきた。へえ、こいつ意外と話わかるいいやつじゃん、と気を良くしていろいろ話すオタク君。

 

ところがその案が男子によってみんなに話され、みんなが「いいね!いいね!そうしよう!」と実現に漕ぎつける段になると、「…やっぱ違うな。うん、違うよ。どうせあいつらになんかわかんないんだよ」とか言う。

おおざっぱに言えばこういうのがオタク君の性質、だと思うのだ。

 

もうおわかりだと思うが親しく話しかけた男子が麻生さんである。

つまり「そういう層」に支持を受けて仮にてっぺんまでいったって支持を受け続けられるわけがないのさ。てっぺんまで行った瞬間にそういう連中から見ればいきなり共感できない敵になる。

 

彼らは権力なんて欲しくないし、多くの人間に対しての理解を求めていない。閉鎖的な空間、特別な立場だからこそ彼らなのであって、一般人と決して一緒にして欲しくないとさえ思っているのではないかしらん。

 

っていうか、それでいいんだよね。むしろそれが正しい。

実際オタク君が権力を取って国を率いる社会なんて想像できないししたくないもんな。

 

***

 

こっからは現在のわたくしです。

 

 

いわゆる「オタク」ってものの立ち位置もこの十数年で大きく変化した。

日本のアニメが世界で評価され、アニメは文化だとか言われもてはやされ、ネットが普及してそのなかではオタク度が強いやつほど尊敬され、オタクが市民権を得たと言えるだろう。

自分をオタクです、っていうことが恥ずかしいことではなくなった。

 

 

ちなみにオタクの雛形を知るにはこの漫画がいいです。

2部まで全部読みましたが良くも悪くもいまどきのオタクがしっかり描かれている。 

 

げんしけん(1) (アフタヌーンコミックス)

 

オタクって言葉を定義するのは難しいし、あくまで個人的な感覚だが「見た目」ではそれは判別できない。

いかにもオタクな格好だからって性質が全然オタクじゃない奴もいるし、見るからにオシャレなカフェが似合いそうなイケメンでも中身がスーパーオタククサイ奴もいるからさ。

格好云々じゃなくて、「性質」の問題なんだよ。

 

むかし勤めてたスーパーの店長さんは「競輪オタク」だった。

仕事があんまりできるタイプじゃないし、ニヤニヤヘラヘラしてて人の神経を逆なでするようなことばっかり言うおっさんだったけど、競輪の話を振ると実に嬉しそうに2時間だって3時間だってそれについて語ってた。

 

いまの勤め先で一瞬だけ触れ合った若い娘さんは「アニオタ」だった。

ものすごいコミュニケーション能力の低い子で、他人との会話がうまくできない典型的なタイプ。自分のための歓迎会でイヤホン耳に突っ込んでうつむいてばっかいる、つまりそういうコ。

だがアニメの話を振ると目をキラキラさせて得意気にいつまでだって話していた。

聞いた話ではカラオケでも相当輝いていたそうな。

 

 

どちらにもあえて「オタク」という烙印を押させてもらったのは、「得意分野以外では自分をじょうずに表現できない」共通点があったから。

 

 

もうひとりいまの勤め先でバイトしてくれていたコに結構キツめの「歴女」がいたが、このコは個人的に「すんごいオタクくさいけどオタクではない」と認識している。

それってのは、たしかに好きなことを饒舌に語ったりこっちが引くくらいの知識量だったりはしたけども

 

・それ以外の会話も問題なくできる

・仕事も普通にできる

・上から目線にならない

 

という条件を満たしていたので、わたしは彼女をオタクには分類しなかった。

逆に言うと、わたしの考える「オタク」とはこういう人。

 

・特定の得意分野の会話でしか自分を表現することができない

・仕事や普通のコミュニケーションに熱意を持って取り組めない

・自分の所属分野以外の人間を下に見ている

 

 

なにかをのめりこむほど好きなのはいいことだ。

対象物が何であろうと、それ自体はけして非難されるような種類のことではない。

「オタクです」って胸張っていい。

 

だけど、いわゆるオタクじゃない人が「なぜオタクを嫌うのか」については考えてみる必要がある。

わたしは両方に足突っ込んでブラブラしてるタイプだから言えた義理じゃないが、一口に言うと「排他的」なんだよ。

 

「どうせわかってもらえない」「どうせ愛してもらえない」からはじまって、自分を守るために「こいつらに何がわかるもんか」「こんなことも知らない薄っぺらい凡人どもめ」みたいな思考になる。

そりゃ否定から入れば相手だっていい気はしないわな。

 

 

結局、すべては「コミュニケーション能力」に行きついてしまう、気もするが。

 

 

www.hampemtarutaru.com

 

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なにごともバランスって、ほんとうに大切です。

 

オタク君とじょうずに付き合うただひとつの方法は、オタク君の好きな話題を振り続けて、話を聞き続けて、誉めそやすこと。

こうやって言うとオタクの本質ってのは「コミュニケーション能力に問題のある子供」なんだろうな。

 

いちおうお断りしておきますがあくまでわたくしの勝手な分析・主観・感想ですのであしからず。

 

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