再三書いてきているが、わたしは友達が少ない。
べつにロンリーウルフを決め込んでいるわけではもちろんなく、単に他人との接触自体が極端に少ない環境で暮らしていることがそのおもな理由。
あとはまあ、引きこもり気味だったり、あまりに厚顔無恥だったり…その辺はお察し。
基本的にわたしは他人が好きだが人間は嫌いだ。
どんな人でも愛せる自信があるけど、同じくらいどんな人だって嫌いになれる。
ぐいぐい行く自分がウザいのも自覚してるので、ある程度まで距離を詰めるとそれ以上は踏み込まないようにする。
なついてくれれば、向こうから懐に入ってきてくれるようになる。
つまり「先方がわたしを受け容れてくれる」ことが、付き合いが長く続く理由になるわけだ。
数少ない友人のひとりとして数えてよさそうなのは、現在の店で出会ったIちゃん。
もう4年半の付き合いになるんだな。
出会ったころのIちゃんは、キラキラ系女子全開、といった趣の人だった。
キレイなモノや女子っぽいアイテムが好きで、お化粧やエステ、ファッション、マラソンやら糖質制限の食事やら、いわゆる都会的女子が憧れて実践しまくるザ・女子。
わたしとはかけ離れ過ぎるくらいかけ離れている。
持ってる要素が違い過ぎる。コレ仲良くなれんのか?
と、遠いよ…!
唯一ギリギリかぶってるかな、ってあたりの「少女漫画」が交流を深めるきっかけになった。
何度か仕事を離れて言葉を交わすうちに、最初に持っていた印象とは別の顔が少しずつ見られるようになり、興味を持つようになった。
ドライに見えて案外情に厚い。
野心に近い向上心があり、わりと根性論寄り。
表情に出さないけど負けず嫌い。
一緒に働く以上にプライベートな時間を共有する機会も増え、そこで交わす言葉によってお互いの脳内をさらけ出す感じになる。
わたしもほかの誰にも言えない、言いにくい話も彼女には包み隠さずするようになり、おかげでずいぶん救われた。
彼女の方も、どーでもいい話から人生の本質に近づくような話までしてくれるようになった。
時々「わたしばっかりしゃべってるかな?」って心配になることもあったけど、最近は特にちゃんと意思表示と、自分の考えも述べてくれるようになり。
そしてそれがまたなかなかに興味深い。
ずっとなんだかんだ間断なく付き合いが続いているから気づきにくかったけど、正直4年前の彼女とは別人と言っていいくらい、彼女は変わった。
上から視点になっちゃってちょっと恐縮だがそれ以外の表現が見当たらないので。
ものすごい速度で「成長」しているのだ。
彼女は店以外にも別の仕事を持つようになり、そこで多くの人とふれあっているのがその急激な成長のおもな理由であろう。
あとは本を貸すようになって、多少の好き嫌いはあれども読んでくれるようになったので、それも一因にはなっていると思う。
自身の母もそうだったが、まったく読んだことのない人が本を読むと、ほんとうに誰が見てもわかるくらい一冊読むごとに成長していく。
多少極論だが、中身に何が書いてあるかというよりは、びっしり詰め込まれた文字情報と長時間向き合い、それを征服する達成感が読み手に何かをもたらすのだろうと思う。
ゲームをクリアするとかと一緒の感じだ。
楽しさはもちろんだけど、伴う我慢と忍耐とを克服するという目に見えたゴールがあるからね。
言うまでもなく読み解く努力や集中力も鍛えられる。
だいぶ年下の、キラキラ系女子。
モノをあまり知っているタイプでもなかったから、いろんな話をして教えてあげる感じだった、ハズなのに。
いつの頃からか彼女の行動に驚かされ、彼女の言葉に喜び、彼女と対等に過ごす時間がとても心地よくなった。
もともと持ってるスペックは誰が見たって彼女の方が高い。
これ、うかうかしてるとかるーく抜かされるぞ。
気が付いたらヒトとして差をつけられちゃうぞ。
たった数年のアドバンテージなんざ、伸び盛りの向上心の塊の女子にはひとっとびだ。
近頃はIちゃんと話すたびに「わたしもうかうかしてらんないな!」って思う。
断るまでもないが、最上級の褒め言葉。
彼女といると、より自分を省みるようになる。より自分を磨こうと思える(いやまあ、外見的な意味でもそこはがんばらないといけないんだが…)。
いまもっとも刺激を受けられる、最高の相棒。
店が終わっても今までどおりの距離で付き合えるか心配ではあるが、願わくば人生を通して互いに影響を与え合える存在のひとりであり続けてほしい。
いつもありがとう、これからもよろしくね。
…まんまラブレターみたいになっちゃったが、ソノ気はありません毎度のことですが念のため。
Iちゃん関連抜粋