車の運転が好きでない。
小心者には実に心臓に悪い。
慣れなんだとわかってはいるが、おじいちゃんやおばあちゃんが普通に運転してるのを見て「彼らにできるんだから自分にだって出来るに決まってる」とどんなに自分に言い聞かせてみたって、怖いもんは怖い。
どうして世の人達はあんなに平然と車を乗りまわせるのか、むしろ慣れれば慣れるほど怖く感じる。
それでも新車君が来てからはそれなりに積極的に運転するようになった。
とにかく慣れないとどうしようもないからさ。
いまの新車君は高級車の部類だが、以前乗っていた車は軽だった。
なんかね、その頃のほうが世界がわたしに優しかったように思うんだよ。
どう言ったらいいのかな、でかい車や速い車、高級車なんかは、運転がうまくて当たり前って言うか。
ヘタクソは乗っちゃいけない感じ。
ヘタクソが乗ってると「ヘタクソなくせにそんな車乗ってんじゃねーよ」って思われる。
それにひきかえボロボロの軽自動車なんかだと、運転ヘタクソでも「しょーがねーな」って世の中が許してくれるっていうか。
でもたぶん、この思考回路ってつまり「わたし自身が」どっかで無意識にそう思ってるからなんだろうな。
高級車は高級車でメリットはもちろん多い。
だけどわたしみたいな運転ヘタクソ君は、小回りが利いて世界が優しくしてくれる軽自動車が正直恋しい。
だからあんまり運転したくない、とはむぺむに話すと
「高級車は怖いから軽でいいや、自動車は怖いから自転車でいいや、自転車も怖いから徒歩でいいや、ってなるよ。便利さに逆行してるよ。敗者の思考だよ」
…その通りなんだけどさ。ぐうの音も出ないけどさ。
免許取ってン十年経つけど、いまだに慣れない車の運転。
運転するたびに緊張MAXで寿命の縮まる思いだけど、慣れ過ぎて惰性で運転するようになって大きな事故を起こすよりは、いつまでも心臓ばくばくさせながら運転してるほうがマシなのかもしれん。
でも、もうちょっとだけでも人並みな心持で運転できるようになりたいこの頃です。