ほんとうに時々だが、はむぺむの仕事の手伝いをすることがある。
職人時代なら雑用系も多く発生するからまだしも、かなり専門的な事務仕事とあって基本知識がないと手伝いと言ってもかえって邪魔になることは言うまでもない。
製本みたいな単純作業ならいくらでもかまわないんだけど。
現在の業務だとおもにパソコンを使った作業になるわけだが、この際マウスよりもキーボードを使ったほうが早い、ことがとても多い。
というかこれはたぶん、業種関係なくパソコンを使う人なら常識なんだろうね。
ショートカットキーとかの部類の話。
はむぺむももともとパソコン?ナニソレおいしいの?みたいな業種からの転向だったため、慣れるために相当努力していた。
少しでも時間のロスを減らすために常に会社PC・自宅PC・ノーパソそれぞれのカスタマイズを繰り返している。
手引書としてこういった種類の本もけっこう買った。
で、ヘルプのわたしにもそういった時短術を教授してくれるんだが。
普段、貴重な時間を無駄遣いして生きているわたしみたいな生き物としては正直そんな時短術はべつにありがたくもない。もともと効率厨でもない。
新しいやり方を苦労して覚えるより、多少時間がかかっても慣れ親しんだ作業の方がやりやすい。もっとありていに言えば惰性で作業ができてラク。
どうせたいした分量でもないし、目の前のタスクがこなせればそれでいい。
という行き当たりばったり思考が素直に授業を受けることを邪魔するのだ。
理屈ではちゃんとわかってる。
1件の処理速度で5秒短縮できるとする。10件ならたった50秒しか短縮できない。わざわざ新しい知識を習得する方が無駄な時間という気はする。
だが1000件になると5000秒。83分。1時間半近くもの時間短縮になる。
仮に新規技術習得に1時間かかったとしても23分余剰時間が生み出せることになる。
言うまでもないが件数が増えるほど時短効果は大きくなる。
そんなことはわかってるつもりだったが、数字で見ると改めて自分がいかに時間を無駄遣いしているか慄然とする。
話は少し飛ぶが、以前一時期工場にアルバイトに行っていたことがある。
ここでの作業は膨大な量の印刷された書類を決められた枚数ごとに袋詰めしていく、というものだった。
たとえば1000枚ひと山とかで印刷されたものに、50枚ごとに付箋がはさまった状態で流れてくる。それを付箋から取って袋に入れて積んでいく、みたいな作業。
何人かが並んで同じ作業台で作業をするのだが、初心者の自分がベテランさんと並んで仕事をした際の終業時に、できあがった山の数の違いに驚いたことがある。わたしが5山だったらその人は8山、みたいな感じ。
まったく同じ時間にスタートして、同じ時間作業しているハズなのに、何時間後かの成果の差ってこんなに出るんだ!
ひとつひとつの作業の積み重ね時間なんだ。小さなロスが積み重なるとこんなに大きな差になるんだ。
これって何かに似てる、とはたと思い当たった。
そうだ、F1とかマラソンに似てるんだ。
はむぺむの教えてくれる仕事の時短術もつまりそういうことなんだよね。
秒の積み重ねが時間を作る。
当たり前にわかっているつもりのことでも、数字で見ると改めて時短の大切さに気付かされる。
仕事でも仕事以外でも、もっと積極的に新しい便利なあれこれを使いこなすように努力しなければ、と切実に思い知らされた。
…ま、同じくらい「時間の無駄遣いこそ人生の醍醐味」ってあまのじゃくなことを思ってもいるけどね。
どうでも素直になれない性質のようです。
頑固は人生の損失。気をつけなければ。