暇だと普段気にならないことが気になる

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ここんとこアヤシイ詩をアップしているが、それはそもそも以下の記事を探していた時に出てきたものだった。

書いたの10年以上前だが、近頃のご時世でなんとなーくモヤっとしていたことを、さらにモヤっとした感じで書いていた。

ちょうどリーマンショックの頃だったようで、定額給付金の話もあった。せっかくタイムリーなのであわせて載せておく。

なんにしても発掘できてよかった。

 

***

 

職業選択の自由、アハハン」

 

たとえばスポーツ選手は体が資本。

体を壊すと仕事ができなくなり収入がなくなり飯が食えなくなる。

そういうのを知ると人は不思議なことに同情を催す。

なんとか救済してやれるような制度がないもんかと思う。

 

たとえば音楽家は耳が資本。

耳がダメになるとお仕事に支障が出て悩んで苦しむことになる。

そういうのを知ると人は不思議なことに憐れみを覚える。

なんとかそれでも続けさせてあげる方法はないもんかと思う。

 

わかる、わかるよ。

たとえばわたしは格闘技大好きだが、格闘家たちは超一流を除けば食っていくもの正直大変だと思う。

レーニングに精を出さないといかんのに食うもままならず肉体労働に追われるような人だって少なくないだろう。

そういうのを見るとなんとかならないかなと思う。

その昔猪木が構想として持っていたように、団体が選手の人生を保証してやれればいいと思う。

 

だけど、冷静に考えてみればそれらの感覚ってやっぱちょっとヘンだ。

苦難の道を選んでいる人たちは好きで選んでいるのだ。

 

無難な仕事について無難に生きていくことを選択することだってできたはずだが、どうしても好きで諦めきれずその世界に身を投ず。

大成功できる人間なんてほんのひと握りだと知っていながらあえて茨の道を選ぶ。

そうして行き詰って苦しむのも当然また享受せねばならないことなんだろうと思うのだ。

 

身体的に障害を持ってしまった人に関してはちょっと話が別なのでここでは触れないが、普通に企業に勤めている人だって似たようなことは起こる。

いつだって誰だって突然に職業を失い職場を失い食うに困る局面に遭う危険性を常に孕んでいるのが現代の資本主義社会だ。

勤めていた会社がつぶれて再就職の目処も立たない。

前の会社はつぶれたわけだから保証も次の職場への斡旋も期待できないし、当然国からはわずかながらの失業保険を短い期間受けられるだけだ。

だけどそんな人を見たって「がんばって再就職先探せよ」としか思わないだろうし、それで何年もブラブラしてると「何で仕事しないんだよ、その気になりゃなんだって仕事なんかあるだろ」とクズ扱い。

そんなもんだ。

 

大人はすべてが自己責任。

会社も仕事も自分で選ぶ。

不幸にも乗った舟が座礁したときには自力で船を大海原に出さなきゃならん。

曳航してくれる奴なんていない。燃料わけてくれるやつなんていないよ。

当たり前だ、みんな手前の船で海を進むのに精一杯なんだからさ。

 

そんな中たまたま人目に触れる仕事だからってだけで過剰に同情を寄せたりする感覚はやっぱりどこかヘンだと言わざるをえない。

 

 

ありがたいことにわたしはキャプテン旦那の船で、船内雑務を担当しながら海の景色を楽しんでおる、というわけです。

 

叩き落されないようにがんばらないとね。

 

***

 

「バカにしてるのかバカなのか」

 

定額給付金という制度は大部分の国民がその場しのぎの馬鹿げた政策だと思ってるだろう。

もちろんわたしもそう思ってる。

どう好意的に考えたって1回こっきりのひとり1万2千円という金が景気をよくするとは到底思えない。

 

わたしは基本的に政治家というお仕事についている人たちを尊敬している。

山ほどの問題に身を削って持てる武器を縦横に発揮してよくぞがんばってくださっててありがたいと思ってる。

だからそこから出るちょっとした失言とか、ちょっとした失敗とかは

「まあ人間だしそういうこともあるよね」

くらいにわりかし温かい目で見守ってるほうだ。

 

だけどこういう意味不明のことをやられると

「もしかして国民をバカにしてる?」

と思う。

いや、バカにしてるならまだマシだ。

もしも真面目にこの方法で景気がよくなったり国民の支持が得られたりと考えてるんだとしたら、むしろ

「もしかして実はバカなの?」

と疑いたくなるね。

 

その昔に配られた地域振興券というアイデアはよかったと思う。

当時子供だったわたしはソレで地元の商店街で何かを(なんだか忘れたが)買ってもらった記憶がある。

だけど今回は現金。しかも口座情報を提出しろとのたまう。

おまけに手続き一式を地方自治体に丸投げときてる。

無責任極まれりだよなあ。

それともひょっとして国民からなんらか収入情報とかを吸い出すための第一歩の作戦なのか、とか勘ぐりたくもなるが、今回のことに関してはたぶん深読みは必要ないだろう。

ど素人がニュース見たって迷走感バリバリだもんな。

 

あまりに馬鹿げたパフォーマンスではあるが、もらえるもんはもらうけどねってのがほとんどのヒトの気持ちだろう。

だからってこんな大掛かりな買収行為をありがたがって選挙で与党に投票するバカもおらんだろ。

もっとも野党も票を与えるだけ期待を持たせてくれていないんだけど。

 

確かにたとえば50年100年前ならこういうのって「お上のくださりもの」ってんで単純に喜んだかもしれないね。

そう考えると政治家たちがバカなんじゃなくて、バカだった国民がちっとは利口になったってことなのかもしれん。

意識の乖離があるんだよね、とは旦那の談。そうかもしれんねえ。

 

どっちにしたってなんだか間抜けな話だ。

いきなり日本が精神的後進国に思えてくる。

 

もひとつ旦那が言ってた、「この政策で儲かるのは焼肉屋くらいだよ」。

 

***

 

ああなんか、大筋ではいまの自分と大きな開きはないけど、若いねえ。

エラそうだねえ。いやエラそうなのは今もか。

昔の文章ってホント、読み返すと赤面が止まらんわ。いやそれも今もか。

 

というわけでこっから現在。

 

医療従事者をはじめ各インフラ従事者や、コロナで影響を著しく受けている娯楽業、飲食業、各種芸術やスポーツの世界に生きる人々、さまざまな立場の人々について考えたとき、それらすべてが自分の豊かな暮らしを支えてくれていることに感謝するのはあくまで「大前提」として、こういう事態になったからってことさらに騒ぎ立てるのはなんかちょっと違和感がある。

 

いまはたしかに異常事態だし、普段に比べりゃいろいろ半端なく大変になってる人はいる。

それらに対する物理的な補助援助は必要だろう。

でも、感謝とか同情とかは、いまそれをわざわざ押し出すのって、なんかね。

普段からそう思ってると、こういうときだけ声を大にしてアピールする人を見ると、正直

「あぁ、暇なんだよね」って思っちゃう。

 

きっかけが何であれ、そういうことに気づけた、そういうことを考えられた、そういうことを言葉にすることができた、ことはいいことだとは思うよ。

ただしそれが「継続できれば」。

 

 

ちょうどタイムリーな話で、検察庁法改正案に抗議しますってのがあった。

あれなんかも「暇なんだよね」と。

法案自体は出たのもうけっこう前だったはず。

 

個人的には(政府が)なぜいまそれを急ぐ?ってのと同じくらい、(国民が)なぜいまそれを騒ぐ?と思う。

 

これはわかりやすかったかな。

note.com

 

問題のあれこれは正直わたしみたいなアホは不勉強状態でうかつに論じないほうが無難だと思うのでここでは触れないけど、それについてわあわあ言ってる人たちを見てると

 

「普段多忙で家にいない旦那さんが、たまに長い休みで家にいるとこまっかいことが気になってグチグチ言い出す」

 

みたいな状態に見える。

 

 

普段から気を付けて家の中を見ていればあれこれ気づくはずなのに、多忙にかまけていいことも悪いことも全然気づきすらしない。

奥さんがせっせと家を磨いて努力していても、変化にすら気づかないくせに、たまに長く自宅にいるとやれあの棚が汚いだのここの隅っこが散らかってるだの言いだして、奥さんをイラっとさせる。

 

 

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イラっとしつつも正論なら従うし、改善の努力もするだろさ。

でもどうせ、また多忙な日々が戻ってきたら、見向きもしなくなるんでしょ?感謝も忘れちゃうんでしょ?

ってなったら、まぁ真面目に話聞こうとは思わないわな。

いやまあこれはあくまで旦那さんと奥さんの話な。

 

 

日頃の積み重ね。

餅は餅屋。

常に感謝を忘れずに。

 

 

暇だとホント、普段気にならないことが気になるんだよね。

 

 

ま、わたしはいつも暇ですけどね。

 

 

 

 

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