ヒトについて語るのって結構難しい。
たとえばB子ちゃんがわたしに「A子ちゃんってどんなヒト?」って尋ねたとしよう。
A子ちゃん、うん、よく知ってるよ。仲いいし。
うんとね、えっとね、それなりに明るくて、ちょっとかわいくて、たまにおもしろいことを言う…?
端的にヒトをあらわす単語って少ない。
格別に「美男美女」「頭がいい」とか「ものすっご運動神経がいい」とか「見るからに上品」とか「芸人ばりにおもしろい」なんてな形容詞があてはまる人なんてそう多くない。
もちろんヒトは知れば知るほどいろんな面を持っているもので、親密度が高いほど語りだしたら5分や10分じゃすまないだろう。
でもB子ちゃんはべつにA子ちゃんのことをそこまで深く知りたいわけじゃ全然ないからな。
熱く語られても困るっての。
だからいざ「どんなヒト?」と訊かれると、あれこれ言葉を探った挙句、わたしはたいていの場合「ふつう」と答える(なんかちょっとヒドイな)。
で、「ふつうだけど、ちょっと○○」てな塩梅。
ヒトの言葉で語られる自分の姿にはある意味真実がある。
さて自分はどんな言葉で語られているのかしら、と想像してみるが、格別な特徴もなく人付き合いも薄っぺらいわたしは、ヒトの口にのぼることもないんだろうな。
「ふつう」っていわれるくらいなら、語られないほうがいいや。
…ってな姿勢がもうアレなんだろね。わかってるわかってる。