年が明ければ42歳(早生まれ)になる現在も、子供を持つことへの希望を捨てられずにいる。
ここではめったに触れないが格別隠しているわけでもない。絶賛ベビ待ち中。
とはいっても20代30代の頃とは違い、そのうち子供が授かればなんて楽観的な話をおおっぴらに出来るはずもない。
すでに40を過ぎ、結婚から数えたって早や19年目に突入する。
かりに結婚してからすぐに子供を設けていればその子は成人式目前だ。
いまさら「実は子供欲しいんだよね」なんて誰にも言えやしない。
周りだって多くの人は「ああ、あの人たちは子供はいらないんだな」と思っているだろう。
いわゆる「不妊治療」というものにも足は突っ込んだ。
だがさんざん迷った挙句、高度治療へは現在も進んでいないしこの先も進むつもりはない。
わたしの「子供を望む話」関連を読みたいというけったいな方がいらしたら、こちらへどうぞ。
もう少し詳しく書いてます。
多少でも経験のあるかたならおわかりいただけるだろうが、不妊治療は実に孤独な戦いだ。
身内にも親しい人にも話しにくい。唯一の味方であるはずの旦那さんとでさえ、多くのすれ違いや意識のズレを思い知らされる。
それが原因でギクシャクして不仲になったり、大げさでなく、ときには離婚の原因にさえなったりする。
そんなの本末転倒の見本みたいな話だが、それほどまでに女性にとっては重要で深刻で、考えれば考えるほど出口のない袋小路に突き当たる。
深入りしていないわたしなんかでさえも、そうしてじわじわとメンタルが弱って行った。
やり場のない思いを抱えてネット上をさまよっていたときに出会ったのが海原こうめさんの ブログ。
出会った当初はまだ引越し前で、絵ではなく文章主体だったように記憶している。
この文章がものすっごい面白くて!
年齢や境遇が近いこともあり、描かれるすべてが「ドッペルゲンガー?」と思えるくらい「それな!」と同意しまくりな内容で、一気にファンになった。
その後漫画へと徐々にシフトしていき。
ついにこのたび、出版の運びとなりました!ぱちぱちぱち!
なんだろう、自分のことのように嬉しい。
妊娠、出産そのものが人間の根源的なことに関わることなだけに、テーマとしてはとても難しい。
それぞれの立場で読むにしても、あまりにもデリケートな話題なため、何を書いても読むほうの感情が荒れ気味になる。
そうした題材を、実に勇敢に、ときに軽やかに描き切ったこうめさんに心からの敬意を表する。
彼女の描くさまざまな事柄で、どれほど多くの勇気をもらったことか。
わたしはブログ上でずっと追いかけていたのですみずみまで既読のはずなのだが、あらためて本として読み返してみると、ネット上で読むのとはまた違った感覚で、まったく新しい内容の本を読んでいる気持ちになった。
実際相当加筆修正なさったみたいだし。大変だったろうな。
でもそのおかげで流れもテンポもよく、1冊を通して一連の流れが、経験者だけでなく誰にでも理解できるようなつくりになっている。
ちゃんと作者の良さも出てる。
そして装丁もすてき。匂いもいい(←いらない情報)。
手触りもいい。ページを繰る感覚が気持ちいい。やっぱり紙媒体はいいね!
購入後何度か読み返したが、エピローグの何ページかを読むたびに涙がこぼれる。
自分の感覚にだぶらせて泣ける、のはもちろんだが、それだけではない。
こんなにも泣けるのは、作者のこうめさんがどれだけ真剣に、熱意を持って、真摯に不妊治療というものに取り組んできたかの証明だ。
その精一杯が絵に、言葉に、滲み出ているからこそ、無条件に人の心を打つのだ。
文字通り、笑いあり涙ありの良書。
子供を持てた人にも、持てなかった人にも、これから持とうとする人にも、いらないと思っている人にも、広く気軽な気持ちで読んでほしい。
それについて考えることは、人生ってなんだろう、生きるってなんだろう、人間ってなんだろうって考える事にも自然とつながっていくから。
そうやって、ヒトがヒトであるってどういうことなんだろう、ってみんなが考えるようになれば、世界は多分、もうちょっとだけやさしいものになる。
…アレッ、なんか宗教臭いシメになっちゃったな!
↓こうめさんとお会いした時の話。またランチしようね!