多忙につき絵のみ付けて過去ログから手を入れずそのまま移植。
だいぶ昔に書いたものなのでいろいろヒドイですが薄目でお読みくだされば幸いです。
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携帯電話が普及し始めたのは私が大学に入った頃。
それ以前はポケベル。家にコードレス電話などもない時代に、私は青春時代を過ごした。
好きな異性と電話で話す。これは中高生の当時けっこう大変だった。
先方の電話口には十中八九当人以外の家族が出る。印象を悪くしては…と考え、丁寧なコトバを使う。
夜も9時を過ぎれば、冒頭に「夜分遅くすみません」とつける。「○○さんいらっしゃいますでしょうか?」緊張するとかんだりもする。
やっと当人が出ても、持ち歩きができない電話の性質上、長電話も会話の中身も制限されるのだ。
それでもせっせと電話をかけたし、またかかってきた。
そうしていくうちに家族もうすぼんやりと娘や息子の交際相手の影が見えてくるようである。
いつのまにやら自分の留守に彼と母が長電話…なんてアクシデントもよく見られた光景だった。
今では携帯電話1人1台。その番号は相手に直通。
小難しい前置きもいらなきゃ、他人が出たときの緊張もいらない。
余談だが、110番や119番の意味を知っているだろうか。
あの番号は、昔電話がダイヤル式だったころに、「0」や「9」の長いダイヤルを最後に回して、その間に少しでも落ち着いて欲しいということでかのような番号になったそうだ。
もっともいまではプッシュホン、まったく意味がなくなったわけだが。
ワンタッチダイヤルなどという便利なものもある。
電話をかけるまえに戸惑ったり、迷ったりする暇がない。また、迷う必要もないのだろう。
世の中便利になったと思うし、私もその恩恵にあずかっているひとりではあるのだが。
ほんのちょっとの勇気とかいうやつがまったく無用になった昨今、昔より恋愛すら便利になったことはいうまでもない。