TOP絵は使い回しのカット的落書きで、本文は過去ログから手を入れずそのまま移植。
だいぶ昔に書いたものなのでいろいろヒドイですが薄目でお読みくだされば幸いです。
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あまり色恋の話をしない。あまりというか全然。
もはや色恋に興味ないってのもあるが、色恋を語るにはどうしても感情を露呈せねばならないからだ。
なんか自分を過剰にさらけだすみたいでちょっと恥ずい。
充分さらけだしまくって恥ずいだろ、ってツッコミは問答無用で却下。
昔話で恐縮だが、高校1年の話だ。
バイト先に友達以上恋人未満という年上の人がいたわたしは、クラスメートの男子なんざガキんちょにしか見えなかった。
バレンタイン。本命のチョコと一緒に家族用に義理チョコを買った。
なぜか1個余分に買った。自分で食べるのもなんだし、ととりあえず学校へ持っていった。
放課後。教室でだらだらしていたわたしは、最後まで教室に残っていたT君に、なんとはなしにその余ったチョコを渡した。
顔あわせればしゃべる程度の間柄だったので、そう不自然な行為でもなかった。
チョコもあきらかに義理とわかる程度のものだし、渡して数日は渡したことも忘れていた。
1週間くらいしたある土曜日。
家でひとりでラーメンを作っていたわたしは鳴り響く電話のベルに慌てて火を消して受話器を取った。
「…もしもし」
電話の相手はなんとT君。
電話なんかしたことなかったので、ホントに腰抜かしそうなくらいびっくりした。
何が起きたのかと思った。
彼はチョコのお礼をひとしきり語ったあとでこともあろうにデートに誘ってくださった。
あいや…その、今更義理だし、なんて言えねえしなあ…
30分ほど話していると、だんだんこっちも彼に好意を抱き始めてきた。
もともと仲良かったほうではあったが。
なんとも便利な性格だ。
デートの約束をして電話を切る。
いつのまにかほんわかした恋愛中の若者そのものの気分で、デートの日をゆびおり数えて待った。
が。
さらに数日後、またT君から電話があった。
彼はこのとき驚くべき言葉を!
「…彼女ができたんだ。デートはなかったことに…」
…って、なんだよソレ!!
わたしはピエロというより火の輪くぐりのライオンか?チャリンコ漕いでる熊か?
誤解から始まったささやかな恋は、見事なまでに瓦解した、とゆー哀れなおはなし。
ちなみに彼とは、卒業まで実にいいお友達でした。お互いの恋愛を語るくらいのね。
…なんだかなあ。