「単純」「忘れっぽい」「バカ」ということで、わたしは基本的にうつ病系にはとんと縁のない性質ではあるのだが、過去一度心療内科を受診したことがある。
そんときの医者のお見立ては「うつ病」だった。
もう6年も前のこと。
当時、生活のうえでどうしても解決できない(いまとなっては取るに足らないことだったし、ありがたいことにすでに解決もしている)問題があり、それが引き金になって自己肯定感が大暴落し、指一本動かすのもキツいような状況だった。
そんときに自身のうつ病についてちらっと触れたメモが出てきたのでまずはそちらを。
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激しい気持ちの落ち込みに苦しんでおりましたわたくし、旦那様の強い勧めで心療内科を初受診してまいりました。
性質をご存じの方は、わたしという人間がそういったもの(心的病やそれに関する医療機関、薬、カウンセリングや、広くは自己啓発や占いなども含めて)を認めていない、認めたくない、むしろバカにしている、否定的な人間である、とある程度理解していただけてると思います。
そんなわたしですが、医者のお見立ては「うつ病」でした。
あー、うん、自覚あったよ。知ってたけど。
改めて宣告されるとなんかこう、気持ちが昂るモノです。
うつ病的なものには、性格的になりやすい、なりにくい、というのは確かにあります。
そしてわたし自身は、そういったものから最も遠いところにいる、と自他ともに認めるところでした。
なんつってもバカだし。すぐ忘れるし。
人間気合いがあればどうとでもなる、とか、力ずくでやれないことはない、とか、うつ病宣告を受けた今でもわたしはそう思っています。
ただ、心療内科と薬については、多少の見識の変化はありました。
まず、医者自身が(心理士も含む)薬の効果について五分五分だと思っていること。
治療方法は投薬しかないとわかっていること。
そして薬は、効果が出るまで時間がかかり、劇的に効くものはほとんどないこと。
言葉は悪いですが、わたしはカウンセリングで話を聞くだけでよくなるとか(もちろんそれで状態が改善される人もいます。要は「否定せずにだまって話を聞いてくれるかどうか」だ、というのがわたしの見解)、 感情の起伏を激しくさせる(主にアッパー系の、いわゆる麻薬に近い効果があるもの)薬を処方するとか、 そういった激しい偏見を持っていたので、それらが解消されたことはわたしにとって大きなプラスでした。
ことに薬については、その効果によって「病気」が治ることもある、事実に納得はできました。
脳味噌開けて物質の状態を見ることはできないため、原因を特定することは難しく、効く効かないは当たるも八卦当たらぬも八卦みたいなところがあり、実際に薬と合った物質が不足していた場合は効果はあるけど、見立てと異なればまるでない。
それがために五分五分であると言わざるを得ないってことだね。
さてうつ病宣告を受け薬を処方されましたが。
わたしは怖いので飲みません。
細かい説明を聞き、薬の効果と副作用や、治癒までの期間などを聞き。
なんつーか、病気だってことはわかったけども、 結局、最後は気の持ちようなんだね。
最近の医療は進んでいてうつ病は治りますみたいな主張をする人は結構多いけども、カウンセリングも薬もどこまで行ってもサポートでしかない。
もちろんサポートの有無は大切だけど、脳内の物質なども含めて、長期間で慣らしていくわけじゃない。
表現が難しいが、 「気にかかることや沈む原因などがあり、長い期間かかって脳内の動きが悪くなって病気になる」 ってことは、 「(サポートがあろうがなかろうが)原因はさておき、動きが悪くなって不幸や気怠さしか感じなくなった脳を、幸せを感じられる物質が出るように慣らしていく」 わけで。
ともあれ、うつ病とはいえわたしの症状は軽いと勝手に推測できます。
飯も食えるし眠れるから。 もっとひどい人には、それなりのサポートは必要なのだ、とは理解できました。
ちなみに、心理士がイケメンでビックリしました。
…そういうこと言ってる時点で、もはやぜんぜんうつ病じゃない気もします。
というわけで、衝撃のカミングアウトでした(←?) うつ病らしいですが、かなり元気です。
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↑補足をいくつか。
まず、わたし自身は「薬を飲まない」選択を(今のところ)しておりますが、薬自体を危険であるとか悪いものであるというつもりはまったくありません。
うつ病はココロの風邪、なんて言われますが、 うつ病治療に用いられる薬のいくつかは「風邪薬」と同じような効能であるとわたしは理解しています。
根治は期待できないけど、生活に支障のある症状を和らげてくれる、という意味で。
要するに、 「熱が40度越えてて飯も食えない、水も飲めない」 だったら、薬を飲まざるを得ません。
飲まないと発熱のせいで脳をやられたり、脱水症状などで命の危機にさらされますから、悠長なこと言ってられません。
だけど、決してそれで治ってるわけではない。
単に、身体の機能を優先させるために一時的に症状を和らげているだけのことです。
あとは身体本来が持っている自然治癒力によって回復していくことでしょう。
でも、 「微熱程度でちょっとくしゃみと咳が」 くらいだったら、まあ薬飲まなくてもあったかくして寝てれば治ります。
わたし自身は自分の現在を「その程度」だと思っているので、薬を飲まずになんとかいってみようと思っているわけです。
「怖い」理由は、やはり依存性ですが、これは薬そのものの依存性ではなく、服薬する人の性質によるものです。
わたしは自分を「弱い人間」で「依存心が強い」「ラクになりたがる」とわかっているため、一度薬を使うとそれに頼ってしまう事態を招きかねず、それがために「怖い」という発言になりました。
くどいようですが薬自体が危ない、怖い、ものではありません。
そんなん言ったら、風邪薬だってアルコールだって一緒です。飲み過ぎは危ないです。
それから、うつ病になりやすい、またはなりにくい、という話ですが、 性格的なものはありますが、無縁に思える単純バカでもわたしのように罹る可能性はあります。
っていうか、誰でも多かれ少なかれうつ病です。
病院行けば、たぶん6割くらいの人がうつ病の診断を受けることができるでしょう(病院をバカにしているわけではありません)。
言っちゃえば1億総うつ病です。←べつに躁鬱とはかかってません
あなたの身近な人も、あなた自身も、気持ちの落ち込みが長引いて、引き金になるなにかがあれば簡単にうつ病にかかってしまいます。
言いようのない重苦しさが脳や体の動きを鈍くさせ、そのせいでやるべき何かが果たせなかったことでますます自分を責め、負のスパイラルから抜け出せなくなります。
あなたのまわりにいるかもしれないそういう人を、無責任に励ましたり責めたりするのはやめてあげてください。
うつ病の人は励ましてはいけない、ってのは基本なので、多くの方はご存じだと思いますが、 「がんばらなきゃいけない」と一番強く思っているのは、誰よりも本人です。
もっとも、実際に「怠け者」と「病人」の線引きをどこでするかは本当に難しく… そんなん言ったら誰も励ませなくなる。
ただ、生真面目で責任感が強い人ほど、自分を制御できない絶望感を強く持ち、発作的に自分を傷つけてしまう可能性も大きいです。
腫れものをさわるように接する必要はないですが、身近な存在であればあるほど、「理解」をしてあげてほしい、してもらってほしいと思います。
否定をされることが、いちばんこたえます。
うつ病になっただけでずいぶん甘ったれたこと言うようになったもんだ、と正直自分でも笑っちゃいますが、 恥ずかしながら「なってはじめてわかる苦しさ」を知ると、 誰にも言えずにひとりで抱え込んで苦しんでいる誰かが 少しでも楽になれますように と思う気持ちが出てくるものです。
家族や友人、職場の人やまわりの人たちの理解とサポートがあれば、心の健康は取り戻せることでしょう。
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