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映画メモ「殺人狂時代(Monsieur Verdoux)」~正義のありか

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チャップリンの映画はあまり観たことがなかった。

もともと映画が得意でないし、時代が古すぎるせいもあって食べず嫌いだったのが実際のところだ。無声映画のイメージしかない。

 

 

そんなわたくし、先日たまたま「チャップリンの殺人狂時代」(Monsirur Verdoux)を見る機会に恵まれたのだが。

 

 

ああもうごめんなさい今まで観てなくて。ものすっっっごい面白かったです!

 

 

以下ネタバレ全開でお話をいたしますゆえ、未試聴の方はぜひ!先読まずこのまま帰って見てください!

最後までハラハラドキドキ手に汗握る展開ですけえ。

どこに着地すんのコレ?ってずっと思って見てたから。

 

殺人狂時代 (2枚組) [DVD]

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  • 発売日: 2011/01/29
  • メディア: DVD
 

 

 

 

さぁ、もう見たことある人しか読んでないね?

くどいようだがまだ見てないってやつは帰れ。で、見ろ。

今の時代だからこそ、ものすごくいろんなことを考えさせられる名作だぜ。

 

 

1947年のアメリカ映画、チャールズ・チャップリン製作・監督・脚本・主演。

原案はオーソン・ウェルズとクレジットされているが、実際のところは「モデルになった実在する殺人犯の映画を作りたいんだけど、主演やらない?」みたいなざっくりした話を持ち込んだだけ、のようだ。

あとでトラブルにならないようにクレジットに彼の名前を入れたけど、チャップリンとしては言うほど協力してもらってないのにあとになって「あれ俺がアイデア出したんだぜ」って吹聴して回るオーソン・ウェルズにちょっとガッカリした、というエピソードがあるそうだ。

もっともそれはチャップリン側の主観なので、実際のところはわからない。

 

 

超ざっくり言うと、金のために殺人を繰り返す男の生涯を追う話。

この作品を紹介する文章はどれもキーワードとして「ブラックコメディ」と「反戦」を挙げているし、たしかにそういう映画なんだけど。

 

なんていうか、スリルで、サスペンスで、ホラーだ。

正直個人的には反戦の部分はちょっとむしろ冷めた目線で見ちゃったくらい。

 

ラストのほうでこの作品を代弁するとも言える「戦争はビジネス、一人の殺害は犯罪を生み、百万の殺害は英雄を生む」というセリフがあるが、そしてこの映画で語りたかったのはまさにそれである、ということもわかるんだが。

 

もっとこう、こういうご時世に見たせいもあるのかもだけど、人にとっての正義ってなんだろう、悪ってなんだろう、みたいなことを大いに考えさせられた。

 

数多の中年女性を巧みな話術で手玉に取り、殺しては金を得るさまはまさに冷酷なハンター。さまざまな職を持ち、フランス中を超人的な忙しさで駆け回る。

もともと長年尽くしてきた銀行を首になったという過去を持つ彼には愛する家族がおり、その暮らしを守るために殺人業に手を染めた。

仕事として割り切り精力的に働くさまは、実にコミカルであり、そして非常にホラーであった。

 

チャップリン演じる主人公ヴェルドゥのコミカルな動きは最高だ。さすがの真骨頂と言うべきか。

深刻でゾッとするような話なのに、その台詞の言い回し、身のこなし、すべてが堂に入っていて、美しく、それがゆえに滑稽。

ジャッキー・チェンなんかも影響を受けてるんじゃないか、とは、はむぺむの談。

確かに。

 

そんな彼が毒薬をテストしようとして思いとどまった相手がいる。

彼女は戦争で夫を亡くした。愛する彼のためなら人殺しだって厭わなかったわよ、みたいな言葉に、彼はなんらか感じるところがあったのだろう。

 

世界恐慌で場面が一転し、ヴェルドゥは愛する家族も、せっせと貯めた財産も失い、憑き物が落ちたような疲れた老人となり、先述の女性との出会いも手伝って自ら逮捕され、斬首刑に処された。

その裁判で「戦争に比べたら人殺しとしては俺なんてまだまだアマチュアだった」みたいな言葉を残した。

 

単純に一本の映画として、時間を忘れてハラハラゲラゲラドキドキさせてくれ、120分という長さも忘れてしまうくらい夢中で観た。

 

 

同時に深く深くいろんなことを考えさせられた。

 

 

いまどきのこんなご時世、自粛警察なんて言葉も出るくらい、少しずつ人の感じる正解や正義というものがおかしくなってきてる。

というか、「正義」を「ふりかざす」人がこの現代にもまだいるのか、というのが率直な感想。

 

 

正義なんてのはありゃしない。

あるのは「その人にとっての正義」であって、どう考えても相対的なものだ。

他人には他人の正義がある。そんなん当たり前だ。

ずいぶんむかしにもちらっと書いたが、ウルトラマンは絶対正義ではない、バルタン星人にだってジャミラにだって彼らの正義があるのだ、たぶん。

 

自粛せずに営業している店なんかに、お上の紋が入った正義という名の旗印をかかげて勇んで攻撃をする人たちは、やってるほうにも事情があって、信念があって、あるいは正義があってやってるってことを考えもしないのだろうか。

マスコミにやり玉にあげられまくったパチンコ店なんかも、気の毒の一言に尽きる。

もっともそのマスコミのほうも、ネタ切れやら各種リスクにスポンサー不足人不足なんかで気の毒な一面もあるわけで。

 

 

以前の記事でも触れたけど、

www.hampemtarutaru.com

 

みんなそれぞれの立場があって、生活があって、それがあまりに多種多様で混沌としているから、わたしも含めて誰もが少し混乱しているんだろうとは思う。

 

だれかなにかを攻撃することで心の平静を保っていられる、って人もいるかもしれない。あるいは実際になにかしらの被害を被ってやむなく声を上げざるを得ない人もいるかもしれない。

だからいちがいに正義の御旗を振っている人を悪いというつもりもない。

 

 

ただ、その御旗が必ずしも正義ではないということは知っておくべきだ。

 

 

正義なんてない、正解なんてない。

時代によって、情勢によって、正解は移ろっていく。

多くの兵士を殺せば英雄になれる時代はたしかにあった。

覚せい剤は合法で、たばこは駅のホームでも電車の中でも吸えた。

 

売り手と買い手が合意さえすればマスク1枚1万円で売ったってかまわなかったはずなのに、それを規制する法律が急ぎ成立した。

 

それらを間違っているというつもりは毛頭ない。

昔はよかったなんて言うつもりももちろんない。

 

 

誰か何かを攻撃したい気持ちになったら、まず深呼吸して、それぞれの立場と、自分の立ち位置、それらを空から俯瞰して見る。

だれかの語る正義や、一方的に押し付けられる正解を、一歩引いて眺める。

正義ってなんだろう、正解ってなんだろう。

自分がやっていることはほんとうに正解なのか、ほかの誰かがやっていることはほんとうに悪なのか。

 

 

人を殺すことが悪、だなんて法律には書いてない。

ただ、殺したら罰がありますよって決まりがあるだけだ。

法律が絶対正義かといえば当然そういうわけではなく。

変遷していくものだからさ。

 

 

そんなことがらを深く深く考えさせられた映画「殺人狂時代」。

おうち時間の慰みにおススメの一本です(←ってそんなシメ?)。

 

 

 

法律の話にちらっと触れてる記事

www.hampemtarutaru.com

 

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