多忙につき絵のみ付けて過去ログから手を入れずそのまま移植。
だいぶ昔に書いたものなのでいろいろヒドイですが薄目でお読みくだされば幸いです。
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人ごみならいざ知らず、人通りの少ない路地で誰かとすれ違うことは意外に気まずい時がある。
もうすれ違うずっと前から姿を確認しているのに、当然だが他人故にあまり見ても悪いと思う。おそらく先方もそうであろう。
お互いの存在などまるでそこにないかのような顔をしてすれ違わねばならない。
相手の容姿にかかわらず、気になるものである。
すれ違ったあと、思わず振り返りたくなるのは私だけだろうか。
たとえば向こうからキレイな女の人が歩いてくる。
「あの服かわいいな」とか「あの鞄いいな」とか思いつつも一所懸命見て見ないフリ。
結構キビシイもんである。
あんまりジロジロ見てると「なにコイツ」と思われてしまう。
若い男の子が歩いてくる。
ずり落ちそうなジーンズに「落ちるぞお前」ってツッコミ入れたいのを耐えてすれ違う。
あんまり見ると「コイツ俺に惚れたか?」なんて勘違いもくらいがち。
ちょっぴりこわいおじさま。
「そのシャツ一体なんの柄だよ、すっげえわけわかんねえセンス」って言いたくても必死に視線を落とす。
あんまり見ると「なにガンつけてやがるコラ、文句あんのか」ってコワイ目にあってしまう。
こんなに興味をそそるものがたくさんあるのに、視線をそらさなければならないのだ。
見たい、見ちゃいけない。
なんか妙に気を使ってしまう、すれ違い様って私にとってそんな瞬間である。