歩くのが好きだ。
ウォーキングにはならない。のこのこ歩くうえに興味のあるものに出会うと立ち止まったり立ち寄ったりしてしまうため、運動には全然なっていないだろう。
かといって散歩というのもなんだかちょっとためらいがある。
いや散漫に歩くって意味では思いっきり散歩に該当してる気はするんだが。
目的は健康の為ではない。
気晴らしと言われるとなるほどそうなのかもしれないけど、なんてーのかな、歩くこと自体がなんだか妙に楽しいんだよね。
かといって、目的なしにぶらぶら出かけることはあまり好きでない。
目的があって目的地があって、そこまで歩くことにこそ喜びを感じる。
だからなんか散歩って呼ぶにはためらいがあるわけなんだけど。
目的地なんて散歩なら適当に設定して「〇✕公園まで行こう」とかいう感じでいいんだろうけど、わたしの場合はその〇✕公園でしたいこと、するべきことがそもそもないと目指す気にならない。
もうだいぶ昔の話になるが、愛用のノートパソコンが故障した。
購入した電器屋さんは隣町で、車で30分くらいの場所。
わたしはノートパソコンをリュックに入れ、電器屋さんまで片道2時間半くらいかけて歩いた。
という感じで、歩くのが好きなのだ。
ただ、目的ありきで歩くとなると多くの場合行きか帰りかどちらかは荷物が発生する。
これが歩く楽しさを邪魔するんだよ。
前述のケースでは荷物は行きのみで、帰りは快適に歩くことを楽しめたわけだが、たとえばちょっと遠くのお店へ買い物に行こう!となっても、帰路の荷物を想像すると萎えてしまう。
手ぶらで身軽で、かつ意義のある歩程を楽しみたいのだ。
以前住んでいた場所から実家へ徒歩で行こうと目論んだことがあった。
車でも電車でも片道2時間くらいかかる距離。道もかなりうろ覚え。しかもよりによって真夏の炎天下。
結局道半ばでヘロヘロになってバスと電車を使ったのだが、1/3くらいは歩いたろうか。距離測定はしていなかったけど、地図で見ると40~50kmくらいは歩いたようだ。
迷子になって道を外れて、車の激しく行き交う歩行者なんて誰もいないような峠道を歩いて、いくつもの国道や川を越えて、8時間くらいの道のりだったがなんだかとっても充実していた。
ふと、またひたすらに歩きたくなった。
健康のためじゃなく、気晴らしのためでなく、ただ歩きたい、と思うときが、わたしには時々あるのです。