向き不向きって言葉があまり好きでない。都合のいい「逃げ口上」になるからだ。
趣味や娯楽ならそれでもいいが、仕事となったらそんなこと言ってられない。
誰だって多かれ少なかれ環境に合わせて自分をカスタマイズしていくもんだ。
接客歴が長いわたしは、オフの時間は口も悪いし内心客はクズみたいなことを日常的に思ってる。
客が見てないときの言動ったらヒドイもんだ。っていうか詐欺だ。
精神的にはハッキリ言って著しく「向いてない」。だって人間嫌いだし。
にもかかわらず、接客業天職みたいに言われる。
他人の見る向き不向きなんてつまりそんなもんだ。
「わたしって○○だから、××向いてないんだよね~」って知るかよそんなこと。
そういうこと言うやつに限ってじゃあ何が自分が向いてるかなんて考えたことないんだろ。
不満があったりうまくいかないことに対する手っ取り早い言い訳「向いてない」。
便利だね。
もっとも、ごく稀に努力が足りないとか我慢が足りないとかいう理由とはべつに、ホントに「向いてない」ことをしている人はいる。
人間てのはある程度環境によって作られる。時間をかければ水に馴染んでいくものだし、近い意識を共有している者同士思考や行動も似通っていくものだ。
だが、たまに見ているほうが気の毒なほど異質な人間が紛れてしまっていることがある。
畑の真ん中にぽつんといる魚か、池になぜか浮いてる大根ってくらい場違い。
ああいうのを向いてないって言うんだろうな、って傍で見てればすぐわかる。
もっともそういう人ってのは逆に向いてない自分をたいていの場合わかってないけど。
向き不向きを知るためには自己分析が必須。
何が得意で何が苦手で、どこまで努力できてどこまで我慢できるのか。
そうして自分の能力を把握したうえで、はじめて適性って話になるわけだ。
やみくもに突っ込んで行って「やっぱ向いてない」って投げることの繰り返しじゃできないことばかりが増えてできることはひとつも増えない。
自己分析すっとばしてただ適性の話をしたら、こんな感じになります。↓
わたしは家事も嫌いだし家に閉じこもってるのが苦手だし。
主婦向いてないっていうか。
じっとして繕いものとかぜったい無理だし。料理とか全然好きじゃないし。
そもそも女に向いてない。
努力したりモノを考えたりするのも好きじゃない。できればやりたくないな。
ラクして寝て過ごしたい。
もうアレだ、人間に向いてない。
猫。猫に向いてる(←いつの間にか適性とかじゃなくてバカバカしい願望になってる)。