ちょっとビックリするくらい大問題になってしまった日大アメフトタックル問題。
アメフト好きとしては看過できないお話なのですが、もうくどいくらい報道もなされてますし、ブログなどでもみなさん書いてらして、そのどれもがある意味各種報道より的を得ているものも多いため、いくつか興味深く拝読したものを紹介させていただきます。
さて。
まずは「なんでこんな大騒動になってんの?」ってのが正直な感想。
理由はいろいろあるでしょうが「映像があった」ことに尽きるでしょうね。
たしかに見れば衝撃映像の類です。そりゃ盛り上がっちゃうわな。
ただ「アメフトを普段見ない人」にすごく誤解されたら怖いなと思うのは、アメフトという競技にとってあの程度のハードヒット自体はべつだん珍しいものではないということ。
もっとすさまじい当たりしてるのは茶飯事です。
ただし、それはあくまで「インプレー内」でのこと。
言うまでもありませんが当該案件はもはや「インプレー内の反則」ではありません
*1。
完璧に球投げ終わってるQBに全力タックルって、もはやレイトヒットでもなんでもありません。害意しか感じられません。
あんな露骨なタックル、相当アホでないとやらないしやらせませんよ。
あんなん野球で言えば「ストライクバッターアウト!」で打席から去ろうとした打者に向かって危険球投げてるのと一緒です。
勢い余った反則でもなんでもなく、はじめから怪我をさせることを目的としたプレー。
なんでそんなわかりきった話をしてるかと言うと、アメフトをはじめとしてスポーツには怪我はつきものだってことが言いたいのです。
いやもちろん、意図して怪我をさせるのと全然話は違いますし、残念ながら今回の案件で日大に肩を持てそうな要素は見当たらないのですが。
スポーツの世界においては勝ち負けがすべて。勝つためには相手の有力選手がトラブルで抜けてくれたらどんなにいいか…と言う願望は多かれ少なかれあります。
正々堂々と、なんていう思考は理想論だと思ってください。そんなキレイなもんじゃありません。
言い方悪いですが「やるならもっとうまくやれよ」と。
だからって実際に怪我をさせることに直結させたらそれはただの傷害罪ですが。
バレないように、ルール内でうまくやれってことです。
過去にはNFLでもこんな不祥事*2もありました。
強制的にテンション上げまくって試合に臨むわけですし、「ぶっ潰してやる」「ぶっ殺してやる」くらいの気持ちになるのはある意味当然です。そのくらいの闘志はないとやってられません。
だから、あくまで「試合のルール内」ではあれだけ激しい当たりも当たり前にするわけで*3。
何が言いたいかってーと、「相手選手を怪我させる目的」で「プレー内の事故にカモフラージュさせる」つもりならあんなアホみたいに露骨なタックルやらないしやらせないって話です。
加害選手自体は追い詰められているうえにテンションあがりまくっちゃってるからやっちゃう可能性はありますが、それを見て監督やコーチが「なんとも思わない」「むしろよくやった」と言ってるとしたら、ほんとーにビックリするくらいアホです。
あんなわかりやすい害意のあるプレーやらせるくらいならバットでもかまえてスタートラインに並ばせればよかったんだ。
そしたら少なくとも実際に傷害を起こすことはなかった。
あんなの闇討ちと一緒です。むしろ闇討ちやらせるほうがまだ理解できるわ。
今後のことは刑事事件として法廷で争われることになるのでしょう。
日大側はあきらかにそれを想定して会見していたし、あくまで「害意を持って指示をしたわけではない」スタンスを貫き通すつもりのようで。
当然加害選手自体もギリギリ成年していたわけだし、どちらも罪には問われることになるでしょうね。
伝統ある日大フェニックス、アメフト部はどうなるのか。
この流れだと残念ながら廃部は免れないんじゃないかなあ…
首脳陣全入れ替えが叶ったとしても、そう簡単には伝統という名の呪縛から逃れることは難しいだろうし。
仮に廃部になったとして、日大的には自業自得だろうけど、選手には何の罪もない。
彼らが実質アメフトをできなくなってしまうことにいちばんの危惧をおぼえます。
他大学なり企業チームなりで分担して、学生たちの救済を考えてあげてほしい。
ゴタゴタに巻き込まれて半年も一年もプレーできなかったらそれだけで大損失です。
実戦から遠ざかるのもキツイ。
ほんとはもっと言えば付属高校のアメフト部員たちの救済も考えてあげてほしいが、そこまでは手が回らないだろうなあ。運が悪かったと言うほかないか…
日大自体も著しく株を落とした、なんともお粗末な案件でした。
看板に泥どころか泥だらけ泥まみれ。
傲慢にさえ見える日大関係者のあの尊大な態度はいったい何に立脚するのか小一時間問い詰めたいわ。
こんなことでアメフトが脚光を浴びるのもなんだか不名誉な気もするし、何より危惧するのはこの一件によって選手たちまたは首脳陣のプレーやプレー選択に無意識に消極性が生まれやしないか、ってこと。
関係者各位は不祥事も怪我も乗り越えて、これからも溢れる闘志でエキサイティングなプレーを続けてほしいものです。
それでこそアメフトだぜ。